指しゃぶりは「やめさせない」が正解?自然に卒業へ導く5つの土台(後編)

鍵は“感覚と安心感”

こんにちは。歯並び育児®協会 認定講師の吉嶺桃子です。

前回のコラムでは、指しゃぶりを「やめさせる」のではなく、“やめられる身体と心の準備”を整えることの大切さをお伝えしました。

今回は、残る2つの土台「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)のやり直し」と「感覚を入れる取り組み」、そして子どもと向き合う大人の“関わり方”についてお話しします。

第4の土台:指しゃぶりの原因となる“吸啜反射”を整える

赤ちゃんが母乳やミルクを吸うときに使う「吸う力」。
これは本来、成長とともに“統合”され、次の発達(かむ・飲み込む・話すなど)へとつながっていきます。

けれど、この吸啜反射がうまく統合されないまま大きくなると、その感覚が“指しゃぶり”として残ることがあります。

つまり、赤ちゃんの頃の「吸う」感覚が、大人になるための「かむ」「話す」感覚に
うまく切り替わらなかった、とイメージしてください。

そんなときは、「吸う」という感覚や動きを年齢に合わせてもう一度見直すことが大切です。

「やめさせる」よりも、「もう一度やり直す」。
その視点が、指しゃぶりの卒業を助けます。

第5の土台:触覚を満たし安心感を育む“感覚統合”アプローチ

指しゃぶりは、触覚や圧覚といった“感覚刺激”を求める行動でもあります。
つまり、指の代わりに安心感や感覚の刺激を得られる方法を日常の中で与えてあげることが大切です。

たとえば——

  • 粘土やスライムで遊ぶ
  • 砂場や田植えなど自然に触れる体験

これらの体験は、感覚が満たされて安心できる身体を育てます。
「感覚統合」とは、外からの刺激を脳が正しく受け取り整理する力のこと。
この感覚が十分に働くと、指しゃぶりをしなくても落ち着いていられるようになります。

保護者の関わり方が“指しゃぶり卒業”の鍵

指しゃぶりに悩む親御さんの多くは、つい「やめなさい」「まだやってるの?」と注意してしまいがちです。
けれど、それは子どもにとって“安心を失う瞬間”になることもあります。

子どもが求めているのは、“指”そのものではなく“安心”。
だからこそ、「見守る姿勢」と「土台を育てる関わり」が大切です。

  • 指しゃぶりは「今この子に必要なサイン」かもしれない
  • 無理にやめさせるのではなく、“やめられる準備”を整え
  • 小さな変化を見逃さず、できたときに一緒に喜ぶ

親が安心して見守ることで、子どもも安心して指を離せます。
その関係性の中で、歯並び・呼吸・姿勢までもが少しずつ整っていきます。

まとめ:卒業は“やめること”ではなく“整えること”

指しゃぶりの卒業は、
子どもに「やめさせる」ことではなく、身体と心の土台を整えることから始まります。

「やめさせ方」ではなく、「やめられる準備」。
それが、子ども自身の力を信じて見守るということ。

焦らず、寄り添いながら、安心できる身体と心を育てることが、子どもの未来の歯並びと健やかな成長へつながっていきます。

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お子さんの発達や生活習慣に合わせて、無理なく進められる方法を私たちと一緒に考えていきましょう。

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