こんにちは。歯並び育児®認定講師の小川麻衣です。
赤ちゃんとの日常で、何度も何度も繰り返される「抱っこ」。でも実はその「抱っこ」が、赤ちゃんの姿勢や発達、
さらには将来の歯並びにまで関係すると聞いたら、驚いてしまいますよね。
今回は、「歯並び育児」の視点から、赤ちゃんの体のしくみに合った抱っこの姿勢や考え方について、前後編に分けてお話ししていきます。
前編では、自己流になってしまっている抱っこの正しいポイントや、 赤ちゃんの発達に合わせた姿勢の基本について。
後編では、素手抱っこをベースにした抱っこ紐やスリングの選び方・使い方など、 今日から実践できるヒントをお届けします。
毎日の抱っこ、どんな風にしてる?
赤ちゃんとの暮らしに欠かせない「抱っこ」。
便利な抱っこ紐を使っていますよね、でもこんな心当たりありませんか……
- 肩や腰がつらくて、つい自分がラクな形に
- 抱っこ紐の使い方がなんとなく自己流
- みんなが使ってるからという理由で選んだ
そんな“なんとなくの抱っこ”が、実は赤ちゃんの体の発達や姿勢に影響を与えることもあるんです。
赤ちゃんの背骨の発達に合わせた抱っこがカギ
赤ちゃんの背骨は、生まれたときは丸くカーブした「Cカーブ」の状態です。
その後、首すわり・寝返り・おすわり・ハイハイといった発達を経て、 徐々に首や腰にカーブが生まれ、最終的には大人と同じ「S字カーブ」に整っていきます。
この発達の順番に沿った姿勢づくりが、とても大切。
特に首すわり前の時期は、背中をまるく保てる「横抱き」が理想的です。
無理に縦抱きすると、まだ未熟な首や背骨に負担がかかり、姿勢の崩れや発達の遅れにつながることも。
背骨と骨盤が安定して育つことで、首やお口の動きもスムーズになり、「噛む・飲み込む・呼吸する」力が育っていく——
つまり、歯並びの土台づくりにもつながっているんです。
「M字開脚」で股関節と左右バランスを守る
赤ちゃんの股関節はとても柔らかく、脱臼しやすい状態です。
だからこそ、「M字」のように足を曲げて開く姿勢(M字開脚)がとても大切。
理想的な姿勢は……
- ひざが胸に近い(屈曲)
- 足が自然に開いている(外転)
- 太ももがやや外向き(外旋)
このM字姿勢を保つことで、股関節の安定だけでなく、背骨や骨盤のバランス、さらにはお口やあごの左右バランスも整いやすくなります。
逆に、足がストンと下がってしまうような抱っこでは、体が反り返ったり、赤ちゃんの体やお口のゆがみにつながる可能性もあるのです。
毎日の抱っこが、未来の歯並びの土台をつくる
一見、姿勢とお口は無関係に思えるかもしれません。
でも実は、姿勢が整うことで「噛む・飲む・呼吸する」というお口の機能の発達にもつながることがわかっています。
便利な抱っこ紐も、使い方を間違えると赤ちゃんの姿勢を崩してしまうことも。
だからこそ、まずは赤ちゃんの体のしくみに合った“素手抱っこ”の姿勢を知ることが大切。
次回は実践編!
後編では、素手抱っこの基本の姿勢を詳しくご紹介します。
さらにその素手抱っこをもとにした、抱っこ紐やスリングの選び方・使い方のポイントもお伝えします。お楽しみに!

歯並び育児® 認定講師
小川麻衣
助産師
4姉妹を子育て中です。
赤ちゃんの頃からの授乳や抱っこ、発達といった育児全般が最終的に歯並びにつながるということを我が子を通して学びました。
妊娠中からママ達と関われる助産師だからこそ、予防の視点で早くからサポートができる、その想いで活動しています。
「好きなことを思い切りやれる体と心を育てたい!」 その土台づくりとして、赤ちゃん期からの “歯並び育児” をご提案しています。