赤ちゃんの発達と歯並びの深いつながり|第2回|赤ちゃんの体幹はいつ育つ?

こんにちは。歯並び育児協会 認定講師の増田さよりです。

全3回シリーズの第2回目。前回は「ズリバイ・ハイハイ」の重要性についてお話しました。今回は、歯並びの土台となる「体幹」に注目し、赤ちゃんの体の使い方と歯並びとの関係について掘り下げていきます。

「泣く」ことから始まる体幹づくり

「体幹が大事」とよく耳にしますが、実際に体幹が育ち始めるのはいつからなのでしょうか? 「体幹を鍛える」と聞くと、大人のトレーニングやスポーツ選手の話を思い浮かべる方も多いかもしれません。でも実は、赤ちゃんも生まれた瞬間から体幹づくりを始めているのです。

最初の体幹トレーニングは「泣くこと」。産声をあげるとき、赤ちゃんはお腹や背中の筋肉を総動員、これが体幹づくりの第一歩。そこから、寝返り・うつ伏せ・ズリバイ・ハイハイと進み、体幹がしっかりと育っていくのです。

赤ちゃんの体幹は「動きの連続」で育つ

赤ちゃんの発達には理想的な順序があります。

仰向け寝返りうつ伏せズリバイハイハイ立つ歩く

この順番通りに発達を経験することで、赤ちゃんは少しずつ重力に逆らいながら体を支える力を育てていきます。そしてこの「動きの連続」の中で、体幹だけでなく、口の動きや姿勢の安定といった歯並びの土台も一緒に育まれていきます。

たとえば、うつ伏せでおもちゃに手を伸ばす動きは、背骨や骨盤、肩甲骨の発達を促します。体の軸が整うと、あごの下から首、お腹までが安定し、自然と舌が上あごに収まりやすくなります。これは呼吸や飲み込みのしやすさにつながり、口まわりの筋肉やあごの成長を助ける=歯並びの土台を整える、というわけです。

「飛ばす発達」がもたらす影響

では、発達の順序を飛ばしてしまうと、どんな影響があるのでしょうか?

近年は、ズリバイやハイハイを経験しないまま立って歩き始める赤ちゃんも増えています。たとえば、おすわり練習のしすぎや、歩行器・バウンサーなどの道具によって、発達のプロセスを飛ばしてしまうケースが見られます。

このように発達の「順序」を飛ばすと、体幹の育ちに偏りが出ます。さらに姿勢が安定せず、結果的にお口の使い方にも影響することがあります。たとえば、姿勢がぐらつく、舌が思うように動かず離乳食がうまく飲み込めないといったトラブルにつながるのです。

結果として、歯並びを育てるための土台が整いにくくなるのです。

おわりに:体幹づくりは、歯並びづくり

きれいな歯並びを育てるために大切なのは、お口の中だけではありません。赤ちゃんの体幹や姿勢の発達があってこそ、舌やあごの動きが整い、最終的にきれいな歯並びが育っていくのです。

私たち大人にできることは、「今どんな動きをしているかな?」「順番通りに発達できているかな?」と赤ちゃんの日々の成長を見守ること。成長には個人差がありますが、その子のペースとプロセスを大切にすることが、健やかな体と歯並びを育てる一番の近道です。

次回はいよいよ最終回。
「体幹が大事なのは分かったけれど、家庭でどう関わればいいの?」という疑問に、家庭でできる遊びや生活習慣で歯並びを育てる具体的な工夫をご紹介します。どうぞお楽しみに!

一般社団法人 歯並び育児協会 認定講師

増田さより

口育士 / 足育アドバイザー®

6歳の娘を子育て中です。
赤ちゃんの頃の動きが身体の土台を作り、その土台作りが歯並びにも影響があると知りました。歯並びはお口だけの問題ではない!と感じています。
子どもの成長を健やかに!と思っているママ達のサポートをしています。

上部へスクロール