一般社団法人歯並び育児協会の代表理事であり歯科医師である阿部奈央に、全20回にわたり、その人生や活動をテーマにインタビューを行う連載企画です。記念すべき第一回のテーマは「パワースポットとの出会い」。聞き手は、同じく歯並び育児協会認定講師で歯科衛生士の佐々木そのか。
阿部奈央(あべなお):
歯科医師 / 早川歯科クリニック副院長 / 一般社団法人歯並び育児協会代表理事
広島大学歯学部を卒業後、研修医としての経験を経て、一般歯科に従事。長男の妊娠をきっかけに、子どもの歯並びと成長を支える「予防としての育児」に強い関心を持つようになる。
矯正治療は多くの子どもの歯並びを整える優れた技術である一方で、痛み・期間・費用の負担から治療を選べないケースがある現実を目の当たりにしてきた。その経験から、「親の手で歯並びを育む」という新しいアプローチとして、2020年に「矯正いらずの歯並び育児講座」をスタート。
2021年には講師育成を開始し、2024年9月には一般社団法人歯並び育児協会を設立。医療と子どもに関する幅広い専門家たちとともに、より多くの家庭に“未来の健康と笑顔”を届ける活動を続けている。
奈央さんの“原点”に触れる旅が、今はじまる
──奈央さんにとって、パワースポットはどのような存在なのでしょうか?
私にとってパワースポットは、特別な存在というより、むしろ日常の一部のような存在でした。小さい頃から自然な感覚で、さまざまな経験をして、色々な気づきを得てきたように感じています。
──そのパワースポットとの出会いは、やはり故郷の広島、宮島が原点になるのでしょうか。
そうですね。最初に行ったパワースポットと言える場所は、たぶん宮島ですね。私、広島に住んでいるので、幼い頃から何度も行っていて。遠足や家族旅行でも訪れることが多く、すごく身近な存在でした。
──幼少期から、何か特別な宗教観があったわけではなく、“祈り”や“手を合わせる”といった行為が自然と身についていたのですね。
はい。小さい頃からお寺に親しんでいたので、手を合わせることや、目に見えない存在を心から尊敬する気持ちは、ごく自然な日常の一部でした。特定の宗教に心酔するのではなく、あらゆるものに神聖なものを感じ取る、という感性だったと思います。
──ご両親も、お寺に通う習慣があったとお聞きしました。
私の両親も、お寺に通う習慣があって。特に印象的なのが、法事で行くお寺の住職さんが女性で、その方はもともと日本舞踊のプロとして活躍されていた方でした。若い頃に大病をされて、踊りの仕事ができなくなり、出家されたという経緯がある方で…。
──その住職さんとの出会いも、奈央さんの感性に影響を与えたのでしょうか。
そうですね。そのお寺で、私も週に一度、日本舞踊を習っていた時期がありました。宗教というより、文化や人とのつながりの中で、祈ること、手を合わせるという行為が、ごく自然な形で私の中に根づいていったのだと思います。
夫との価値観の違いが気づきをくれた
──その後、結婚されて生活環境が変わった中で、ご主人との間で価値観の違いに直面されたそうですね。
そうなんです。夫は、法事にも葬式にも一度も行ったことがない人だったんです。家族全員が元気というのもありますが、そもそも「そんなことしても意味がない」というような考え方の家庭でした。最初は驚きましたね。
──その価値観の違いから、奈央さんの中で「先祖供養ってしないとどうなるの?」という疑問が生まれたのですね。
はい。その答えを求めて、かつてお世話になった福山のお寺の住職さんの元へ、夫婦で話を聞きに行くことにしました。
──住職さんの言葉で、特に心に響いたことはありますか?
「供養って、死んだ人のためじゃなくて、生きている人のためにするんだよ」って言われたんです。たとえば、自分たちの命を一本の木だとしたら、私たちは幹であり、枝を伸ばし、実をつける存在。でも、その根っこが腐っていたら、木は倒れてしまう。だから、自分のルーツを大切にするというのは、生きている自分のためなんだって。この言葉が、その後のパワースポット巡りに、また新たな意味を与えることになりました。
“お願い”よりも“決意”をする場所
──今の奈央さんにとって、パワースポットを訪れる目的は昔と大きく変わったそうですね。具体的に、どのように変化しましたか?
昔は「叶いますように」ってお願いをしに行っていたけど、今は「私はこうします」って決意をしに行く場所になりました。特に、歯並び育児の講座を立ち上げてからは、生徒さんの幸せを祈るために行くことも増えて、より意味が深まりました。
──単なる“開運”のためではなく、自分を律し、奮い立たせるための“心のメンテナンス”のような存在になっているのですね。
その通りです。心を整え、次に進むための静かなエネルギーをチャージする大切な存在です。
尊敬する“人生の先輩”との出会い
──パワースポットをより深く意識するようになったきっかけの一つに、人生の先輩との出会いがあったとお聞きしました。どのような方なのでしょうか。
その方は、長年にわたり健康や美容に関わる活動を続けながら、講演会の主催や奉仕活動などを精力的に行ってこられた方です。神仏への祈りをとても大事にされていて。お金も成功も、全部「世の中のために使う」というスタンスなんです。
──その生き方から、奈央さんが学ばれたことはありますか?
自分のためではなく “天下国家のために役立つ人間になります” という思いで、神社を参拝するそうなんです。その姿勢にすごく共感し、私も学び続けています。見えない力を、目に見える行動に変えていく生き方だと思いました。
見えない力は“目に見える行動”に変わっていく
──見えない力やご利益について、奈央さんはどのように考えていますか?
「出雲に参拝した後、なぜか売り上げが上がったことがあって(笑)」というような経験もありますが、私は “奇跡が起きるとか、そういうのじゃない” と思っています。気持ちを整えて、目の前のことに向き合おうって決められる場所。パワースポットって、そういう存在だと思っています。見えない力を感じ取った先に、自分の意志で行動する。その流れこそが大切だと。
──今後、訪れてみたい場所はありますか?
やはり伊勢神宮は行きたいですね。“人生で一度はお伊勢参り”っていう言葉もあるくらいですし、何度行っても惹かれる場所です。あとは日光東照宮も行ったことがないので行ってみたいし、世界遺産巡りもしたいです。
──今後の活動として、パワースポット巡りを参加者と共にエネルギーを高め合う場として活用していくお考えもあるそうですね。
はい。国内外問わず、美しい場所、神聖な場所を訪れ、気を整える。いつか、みんなで一緒にパワースポット巡りができたら楽しいですね。お互いの気を高め合うような、そんな時間がつくれたらと思っています。
阿部奈央の「祈りの感性」や「決意の力」の源泉はどこにあるのでしょうか?
次回は、阿部奈央の価値観の土台となった原体験に迫ります。 どのような家庭で育ち、どんなことに感動し、悩んできたのか──。
今の阿部奈央を形づくった“源泉”をひも解きながら、そのパワフルなルーツに光を当てていきます。どうぞご期待ください。
一般社団法人歯並び育児®協会 認定講師
佐々木そのか
歯科衛生士
臨床経験23年の現役歯科衛生士、4児の母。
上の子2人は矯正治療中、下の子2人は歯並び育児®で歯並びが変化中。 自身の経験から、歯並びは『悪くなってから治す』ではなく『予防し、育てる』ことの重要性を強く実感。
認定講師として講座生さん達をサポートするほか、地域の保育園や子育て施設などで定期的にセミナーを開催。
器具に頼らなくてもきれいな歯並びを育てられるということを、より多くの方に伝えるために活動中です。